新年度になりましたね!
今期のドラマをチェックしたら、観たいものが見つかりました。
「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」
TBS系 火曜夜10時
2025年4月1日スタート
主演:多部未華子
「対岸の火事」ならぬ、「対岸の家事」。
実はこちら、原作小説があるんです!
私も数年前に読みましたが、とても心温まる素敵な小説でした。
今回のドラマ化にあたって、本棚から引っ張りだして再読しています。

この物語では、“家事”に“育児”も含みます。
子育て世代には特におすすめ!
育児中に現代社会で直面する壁など、描写がリアルで読み応えのある内容。
共感ポイントがたくさんありますよ!
- 「対岸の家事」原作小説のあらすじ
- この本を読んだ感想(筆者は子育て中の専業主婦)
- ドラマの情報
「対岸の家事」小説のあらすじ

物語のあらすじ
「対岸の家事」は、家事をテーマとした長編小説です。
作者は朱野帰子さんで、2018年に単行本、2021年に文庫版が講談社から出版されました。
主人公は、専業主婦の村上詩穂。
児童館や公園で、ワーキングマザーや育休中のパパなど、立場が異なる「対岸の人たち」と出会います。
立場も性別も価値観も違う登場人物たちが、家事・育児を通して関わり合う。
そんな彼らが、時にぶつかりながらも、いつしかママ友・パパ友となって互いに支えとなっていく物語です。
登場人物の紹介
- この物語の主人公
- 生い立ちに事情があり、家事を仕事にするため専業主婦を選んだ
- 児童館で「専業主婦は絶滅危惧種」「時流に乗り遅れている」などと言われる
- 家事は仕事と認められない風潮に悩む
- 愛娘と過ごす毎日は幸せだが、大人との交流がなく孤独を感じる
- 繰り返される単調な毎日にモヤモヤすることも
- 詩穂と児童館で出会い、その後偶然マンションの隣人となる
- 元は営業職、育休明けは総務部に異動
- 共働き家庭だが、夫は激務でほぼ不在
- 仕事、家事と二児の育児、すべてを一人でこなすワンオペワーママ
- 誰にも頼れず、「まだ頑張れる…」と、ギリギリの毎日を送っている
- 公園で詩穂と出会う、育休中のエリート官僚
- 外資系勤務のバリキャリ妻と、交代で育休をとっているパワーカップル
- 優秀であるがゆえに、育児も完璧に計画通りにこなそうとする
- 思い通りに進まない家事・育児に困惑している
- 専業主婦のことを「時代の趨勢もわからない」などと見下している
- しかし実は、彼が主婦嫌いなのは過去に理由がある
他にも、子宝に恵まれない医者妻・蔦村晶子、夫に先立たれた高齢の専業主婦・坂上さんなど、ご近所の様々な人と出会います。
皆それぞれの立場で事情があり、悩みがあります。
自分の選択が正しかったのかと自問自答しながらも、日々の家事育児に一生懸命向き合っている、そんな日常を舞台にした小説です。
「対岸の家事」原作本を読んだ感想

「“家事”は“仕事”である」という価値の提供
筆者は、転勤族の夫と結婚し、仕事より家庭を選んだ元会社員です。
現在は専業主婦として二児の育児中、そんな立場からこの本を読んでいます。
作品の登場人物と同世代であるため、自分の生き方について自然と考えさせられました。
女性も働く、共働き家庭が一般的になってきた現代社会。
「専業主婦」でいる肩身の狭さは実際にあるので、主人公・詩穂の感じた気持ちがよくわかります。
それに専業主婦でいると、「夫の付属物」扱いをされることも往々にしてあるんですよね(相手の悪意の有無は置いといて)。
「社会のこと知らないんでしょ」というような……言い方を選ばなければ「ちょっと下」に見られてる、そんな感じです。

自分で選んで、転勤についていく覚悟を決めたし、
こういったこともある程度は想定していましたが。
実際に受けると、けっこう悔しいものです……
そんななかこの作品で、家事も仕事として扱ってくれたこと自体に、ちょっと救われた思いがしました。
小説のあとがきに書かれている、著者・朱野さんの言葉を紹介したいと思います。
「この子を連れて児童館に行ったとき、育休中の人に訊かれたんです。お仕事は何してるの?って。家事と子育てですけど、と言ったら、それは仕事じゃないって返されました」
(中略)だけど、じゃあ、誰が家事をやるんだろう?
大学の後輩が「仕事じゃない」と言われたこの労働は今もなくなってはいません。
(中略)専業主婦が絶滅しかかっている世界を書いてみたくなりました。彼女たちに頼れないその世界で私たちはどうやって家事をやりくりしたらいいんだろう? 家事をやったことがなさそうな人たちが作っている、この日本という国で。
引用:朱野帰子「対岸の家事」p430~「文庫版に寄せて」
家事って、生活するうえで誰もが避けては通れないものですよね。
生きることそのものなのに、どうして軽く扱われるんだろう?
自分でしていない人は、誰かにその穴を埋めてもらっているだけなのに……
私自身も、そんな疑問を持っていました。
それなのに、「家事・育児しかしていない」と、専業主婦でいることに劣等感を抱くことも。
あれ、矛盾してないか……?
自分自身が、芯から認められていなかったのかもしれません。
この物語を読み、自分のなかでも家事の位置づけを再定義できた気がします。
名もなき家事、終わりもなき家事に焦点を当て、「家事は仕事である」と作品を通して言語化してくださった朱野さん、お見事だなぁ!と改めて感じています。
どんな立場の人も、みんな懸命に生きている
この小説は家事・育児をテーマとしていますが、登場するのは置かれた状況の全く異なる人々です。
皆それぞれの悩みを抱えています。
立場が違うと、見える世界も、直面する問題も違ってきますよね。
それでもいえるのは、みんな必死に生きている、ということだと思います。
他人からは見えないだけで、みんな頑張っているんですよね。
立場が違っても、どっちがエライとかどっちが正しいとか、そういった優劣は感じなくていい。
他人を見下すことも、自分を卑下することもしなくていいという優しいメッセージを、この物語から感じることができました。
みんなちがって、みんないい!
家事に育児に奮闘する、どんな立場の人も肯定してくれるような、とても心温まる素敵な作品です!
「対岸の家事」ドラマ化!

「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」TBS系 火曜10時ドラマ枠
これまで紹介してきた「対岸の家事」、この小説をもとにしたドラマがはじまります!
- 放送日時
- TBS系、火曜夜10時ドラマ枠
- 2025年4月1日から放送開始
- キャスト
- 村上詩穂……多部未華子
- 長野礼子……江口のりこ
- 中谷達也……ディーン・フジオカ
ほか
- 原作
- 朱野帰子「対岸の家事」(講談社文庫)
- 高視聴率ドラマ「わたし、定時で帰ります。」の著者
どんな風に映像化されるのか、ワクワクしています!
出演者も、とっても魅力的ですよね。
放送が楽しみです。
おわりに
ご紹介してきた通り、「対岸の家事」は子育て世代に刺さりまくる内容です。
ドラマ化も楽しみですが、原作小説もとってもおすすめです!
興味を持たれた方、ぜひチェックしてみてくださいね。